日本の天津甘栗の歴史は、樂天軒と共に。
天津甘栗の販売を黎明期より手掛けてきた「樂天軒本店」の歴史は、日本の天津甘栗の歴史そのものと言えます。大阪名物の特徴的な「赤い紙袋」で包装された天津甘栗は、創業者 藤田留吉の考案によるもので、関西における天津甘栗の食文化は樂天軒が創ったと言っても過言ではありません。
樂天軒がこだわる最高の栗
優れた品質で最高峰と謳われる河北省産の栗。
明治の後半までは、たまに中国の商人が少量の栗を焼いて売っていた程度の珍しい存在でしたが、樂天軒を含む4つの甘栗専門店が日本に誕生し、中国より輸入する栗はすべて「天津港」から船積みされていたことから「天津甘栗」と呼ばれるようになりました。
中国では栗がおよそ13の省で産出されていますが、樂天軒が選んだのはその中でも特に優れた品質で、永い歴史を有している「河北省産の栗」です。万里の長城を頂きにもつ燕山々脈の裾野で、冬の厳寒、夏の酷暑に鍛えられ、風味、甘味、香りとも中国産甘栗の最高峰の栗を生み出しています。
毎年10月の収穫期になると、その高品質の栗を樂天軒が持つ独自ルートの生産者より直接買い付けています。樂天軒から目利きに優れた人材が現地に出向き、味はもちろん大きさや形とも優れた栗を厳選し、仕入れた栗は樂天軒が培った伝統の手法で、一年中美味しく召し上がっていただけるよう厳格に貯蔵しています。
厳選素材から、最高の栗を選び抜いてご提供。
樂天軒では仕入れた栗がすべて店頭に並ぶわけではありません。貯蔵している栗から毎日必要な分だけを職人が焼き上げて販売しますが、その過程で求める品質に至らないものは選別され、選び抜いた最高の栗だけをお客様にご提供しています。
厳選の素材と厳しい職人の目利きによって選び抜かれた最高の栗で、樂天軒が受け継ぐ老舗の味を百二十年以上にわたって守り続けています。
受け継がれる職人の技
味と品質を保つ、老舗ならではの貯蔵。
素材となる最高峰の栗が収穫できるのは年に一度きり。それを樂天軒の職人が代々受け継ぎ、磨き上げた伝統の「技」があってこそ、一年間にわたって美味しい甘栗をお客様に提供し続けることが可能となります。特に栗の貯蔵については老舗ならではのノウハウがあり、素材の味と品質を保つための厳格な管理を行っています。
また、天津甘栗は日持ちがするように思われがちですが、樂天軒がおすすめしている賞味期限は3日間。当店に並ぶ天津甘栗は、いずれも当日の朝に職人が焼き上げたばかりの出来立てをお届けしています。
甘栗の焼き加減については、気候や湿度、素材の作柄や保存状態など、様々な条件によって変化するので、熟練の職人が培った技で、美味しく丹念に焼き上げています。
美容と健康に嬉しい天津甘栗。
日本栗は甘味が少なく茹でて料理に使われることが多いですが、中国栗は甘みがあり、焼いて美味しくなることから天津甘栗に最適な素材です。
しかもただ美味しいだけでなく食物繊維を多く含んでおり、ビタミンB1・ビタミンC・カリウム・ナイアシンといった栄養素が豊富な上に、葉酸も含まれているので、美容と健康に役立つ理想の健康食といえます。
老舗だからこその”新しさ”
今も受け継がれる創業者の思い。
百二十年以上にわたり、脈々と受け継がれる樂天軒「天津甘栗」の味。
その美味しさはもちろん、天津甘栗といえばすぐに思い浮かぶ「赤い紙袋」も創業者 藤田留吉の考案によるもので、東京では天津甘栗を入れるのは巾着型でしたが、樂天軒の赤く四角い紙袋は印象に残る特徴的なデザインで、あっという間に大阪特有の名物となりました。
また、厚手の紙袋を使うことは見栄えだけでなく、熱々の栗を入れた際に発生する水蒸気を吸収し、甘栗のべとつきを和らげる働きもあります。商品をお客様に手渡すまで決して手を抜くことはない、創業者の品質と味へのこだわりが込められています。
その人気ぶりに袋を模倣する店が後を絶たず、昭和64年(1989年)にデザインを一新しましたが、樂天軒伝統の赤い紙袋は創業者の思いと共に受け継がれています。そして従来デザインの紙袋は催事販売用として今も皆様にご愛顧いただいております。
樂天軒はいつの時代でも先駆けて”新しさ”にチャレンジする老舗であり、それこそが”樂天軒の伝統”でもあります。
進化し続ける樂天軒の味。
“老舗の味”とは昔の味という意味ではなく、伝統の味を受け継ぎながらも時代とともに移り変わるニーズやライフスタイルを捉えて、新しい味を生み出していくことを指します。今では看板商品である天津甘栗だけではなく、饅頭やくずもち、季節限定の商品など、大阪土産としてもお喜びいただいている多数のラインナップをご用意しています。
樂天軒は次の百二十年にわたってお客様に喜んでいただける、新しい老舗の味を目指して進化し続けて参りますので、これからも変わらぬご愛顧を賜りますよう心よりお願い申し上げます。